テレビの価値とは

目減りするテレビの価値

テレビ放送が始まって60年、視聴スタイルはここ数年で大きな変容を遂げた。

最上の情報ソースであり、最上のエンターテインメントであったはずのテレビは、World Wide Webの勢いが増し続ける傍らで、次第にその価値を問われるようになる。

2ch、ブログ、SNStwitterYouTubeニコニコ動画、テレビ以上の情報ソースと、テレビ以上のエンターテインメントをwebに見出した人たちは、テレビを見て過ごす時間を、webで過ごすようになった。

情報ソースとしてのテレビの価値は目減りし、同時にtwitterFacebook、その他のwebサービスに取って代わられている。

それはエンターテインメントも同様で、web上の数多のコンテンツの勢いは増すばかりだ。

それではテレビはこのまま存在価値を失ってしまうのか。

 

放送と通信

テレビとwebを技術的側面から見ると、一つだけ大きな違いがある。それは正に放送と通信の違いで、ブロードキャストとユニキャストの違いに他ならない。(IPマルチキャストはまた別の議論・・・)

関東地区の視聴率1%は、個人に換算すると40万人程度と言われており、視聴率10%で400万人、サッカーの代表戦が30%程度とすると、注目度の高いコンテンツは1200万人が同時に見ている計算になる。

地デジの現在のビットレートはおおよそ20Mbpsなので、単純計算で20Mbps x 1200万の帯域が必要とされる。

サッカーの代表戦しかり、最近であればAKBの総選挙しかり、テレビの価値とは、圧倒的大多数がリアルタイムに体験を共有できるところにあり、それはテレビ以外では成立しえない価値となっている。

昨今テレビ局が『セカンドスクリーン』『スマートテレビ』と声高に唱えて取り組んでいるのは、web(ソーシャル)と連携することによって、その放送ならではの価値を大きく高めることが出来るからだ。

では、テレビの価値とはそれだけなのか。

 

忘れていたもの

ようやく本題だ。本日、IMC Tokyoのセッションで、日テレの安藤さんが非常に面白いことを言われていた。ロジャースの普及曲線を引き合いに出し語っていたこと。

 

webの進化、デバイスの進化、視聴形態の変化が激しい昨今、テレビも変化していく必要がある。NHKを筆頭に、民法各局躍起になって取り組んでいる課題だ。

 

しかし、全てのセグメントが変化しているわけではない。それは、スマホもタブレットもwebも利用していない、必要としていない、今までずっとテレビを見てきた世代、そしてこれからもテレビを見続ける世代。

そう、高齢者世代だ。

 

テレビの価値とは、リアルタイムでの共通体験という価値以外に、今まで存在していた確固たる価値、『とりあえず見ている人たちがいる』ところにもある。

 

見出した価値を、どうさらに高めていくか。大きな変化が始まっている。